ごあいさつ
この国で昨年1年間に亡くなられた119万人のうち、がんによる死亡は36万人を超えていました。約3人に1人ががんで亡くなられたことになります(人口動態統計2010年)。また、生涯で男性は2人に1人、女性は3人に1人が、将来がんに罹るとも言われています。つまり、がんは誰もが罹患する可能性のある、極めて身近な疾患なのです。一昔前までは、がんというと不治の病との認識が支配的でした。しかし現在では医療技術の進歩は著しく新しい治療法や治療薬が台頭してきた結果、完治することも可能な疾患となりました。早期で発見できれば治療法の選択肢も拡がり、治癒率も飛躍的に向上します。大切な命をがんで失わないためには、がん健診を受けて早期発見することが何より重要であることは周知の事実でありましょう。
また実際にがんと闘っている患者さんにとって、正確な病期診断や再発・転移のチェックは治療方針を決めるうえで重要となりますし、治療効果の判定にも精度の高い検査が不可欠です。
甲府脳神経外科病院PETセンターでは、地域の皆様のお役に立てるよう「がん健診」および「がん医療検査」の両面から真摯に取り組んでまいります。
PET検査のしくみ
PET検査は、がん細胞が正常細胞に比べて多くのブドウ糖を細胞内に取り込む性質を利用して、ブドウ糖が多く集まっている場所から「がん」を発見する検査方法です。ブドウ糖に放射性同位元素(18F)を付けた薬剤(FDGと呼びます)を注射すると、18Fが微量の放射線を発する発信機のような役割を果たし、そこをPETカメラで検知し体内のFDG分布を画像化することで「がん」の位置と大きさ、あるいは進行度合いを調べることができます。
PET検査の優れているところ
PET検査には大きなメリットがあります。まず、全身を一度に撮影するので、「がん」の転移や再発を検索するのに役立ちます。また、着衣のまま横になるだけですから苦痛がほとんどありません。CTやMRIが病巣の形状を検査するのに対し、PETは病巣の機能を検査します。良悪性の鑑別や、「がん」の悪性度・進展度を測ることができます。
PET検査の限界
PET検査も万能ではありません。以下のケースで、偽陰性や偽陽性が発生することがあります。

  • 偽陰性になりやすい場合
    • 腫瘍径が1cm以下
    • 細胞内にFDGを留まりにくくする酵素の存在(原発性肝癌)
    • 高血糖状態(糖尿病)
    • 細胞成分が少ない腫瘍(胃印環細胞癌等)
    • 尿路に接している部位(腎癌 膀胱癌 前立腺癌等)
    • 悪性度の低い腫瘍(肺高分化腺癌等)
  • 偽陽性になりやすい場合
    • 急性炎症
    • 結核 サルコイドーシス 膿瘍
    • 慢性甲状腺炎 良性骨腫瘍
    • 腸管蠕動亢進 大腸ポリープ
    • 子宮筋腫 子宮内膜症
    • 排卵期卵巣 授乳中乳腺
    • 良性卵巣腫瘍(チョコレートのう腫 奇形腫)
    • 褐色脂肪(寒冷期)
PET検査の流れ
受付からお帰りいただくお時間は、約2時間30分です。
受付・お着替え(20分)

受付窓口にて手続後、検査衣に着替えていただきます。
問診・説明(15分)

簡素な問診にて健康状態を伺い、検査のご説明をいたします。
注射(5分)

FDGというお薬を静脈注射いたします。
安静(45分)

注射薬が体内に行き渡るよう安静にしていただきます。
撮影・検査(20分)

排尿後、PET-CTカメラで全身を撮影いたします。
回復(30分)

放射線が減少するまでお休みいただきます。  ※2度目の撮影をする場合があります。
検査結果

医療検査の方は、1週間以内に紹介元の先生に報告します。
PET検査の保険適応について
(厚生労働省保医発0305第1号より)
悪性腫瘍
悪性腫瘍(早期胃がんを除く)の病期診断又は転移・再発の診断
てんかん
難治性部分てんかんで外科的切除が必要な場合
虚血性心疾患
虚血性心疾患による心不全で心筋組織のバイアビリティ診断が必要な場合(心筋シンチグラフで判定困難な場合に限る)
いずれも主治医からの診療情報提供書(紹介状)が必要です。弊センターでは悪性腫瘍のみ検査を実施しています。
医療機関の方へ
1. 患者様のご紹介は電話にて承ります。 TEL: 055-232-9311
患者様のご都合、治療日程等を考慮して検査日時を決定します。
患者様のご住所、連絡先および診断名、病態等を簡単にお伺いします。
※病態によっては保険診療とならない場合があります。
2. 紹介状(診療情報提供書)をFAX送信願います。 FAX: 055-232-9312
事前に病歴等の把握をさせていただきます。

診療情報提供書のダウンロード
3. 参考画像をご提供ください。
PET読影の際、画像の提供がありますと大変参考になります。
また、CD-R等の電子媒体での提供にご協力ください。
4. 患者様にご指導ください。
検査当日は6時間前から絶食をお願いします。
糖尿病の方は検査直前の血糖値が150mg/dl以下になるよう調整してください(ただし高インスリン状態はお避けください)。
5. 検査結果は1週間以内に郵送でお届けします。
通常は検査の翌々日までには発送しておりますが、連休や読影医の出張等で手薄な日はその限りではありません。お急ぎの場合は事前にご連絡ください。
よくあるご質問
Q1 どんな「がん」でもみつかりますか
A1 「がん」の種類や場所、また病期によってもブドウ糖の代謝は異なりますので、必ず全ての「がん」を見つけ出せるとは限りません。また、1pに満たない小さな「がん」は画像にも写りにくいので見落とされる可能性があります。
Q2 副作用の心配はないですか
A2 FDGという薬剤はブドウ糖製剤であり、アレルギー等の副作用は非常に少ないと考えられています。
Q3 被ばくの心配はないですか
A3 PET-CT検査1回当たりの被ばく料は、胃透視検査2回分程度であり、普通の人が1年間に自然界から浴びる量と同程度です。被ばくによる健康被害の報告はありません。ただし、妊産婦や乳幼児の受診はご遠慮いただいております。
Q4 検査時間はどのくらいかかりますか
A4 検査自体は20分程度ですが(2回撮影する場合もあります)、来院いただいてからお帰りまでには約2時間30分を要します。また、PETがん健診ゴールドコースはMRI検査がありますので、さらに1時間程度いただきます。
Q5 PET検査を保険診療で受けたいのですが
A5 健康保険でPET検査を受けるには制約があり、ご本人の希望だけでは保険診療ができません。悪性腫瘍(早期胃がんを除く)の病期診断、あるいは再発・転移の確定診断において保険適応が認められます。前提として主治医の先生からの紹介が必要となります。まず、主治医の先生に相談してみましょう。